-第三十七回-
*Kyrgyzstan_『Pasture』*
中央アジアはキルギスの首都ビシュケクの空港で知り合ったオフィサーの家でお世話になり、
その後、山間部の都市に住む彼の奥さんのご両親のお宅でお世話になる事はや二週間
親戚の住んでいるという放牧地に招待され、そこで頂いた羊を自宅で一頭丸々さばいてもらったり、
キルギスの飲み物や料理を教わったり。そんな日々を過ごしているところ。
普段、近隣の町や村で飼われている羊、馬、牛は夏になると
人里離れたジャイロー(放牧地)で開放されて生活している
それらの面倒を見る家族も勿論そこで生活をする電気もガスも無い生活だが、
毎年数ヶ月こういう暮らしをできるのは少し羨ましい
今回はそんなキルギスの暮らしをご紹介
キルギス定番の馬乳酒"クムス"を頂く酸味が強くちょっと変わったクセになる香り
可愛いふりしてこの子わりとお酒なのだが、茶碗にたっぷりと注がれる
時間が経ったものは臭いが強烈なものもあるが、ジャイローで飲むものはどれも新鮮
こういう樽で作られる飲む前に中央の棒でかき混ぜる
フレッシュ馬乳も飲んでみた臭さはまるで無く、温かくてかなり甘かった
もちろん毛や土が混じっていたがお腹を下す事はなかった
馬乳でお腹を下すとハードらしい
一旦、ジャイローから町へ戻りまして
穀物を炊いて発酵させたドリンク"ジャルマ"を作っているところ
17歳の娘さんに火のおこし方から習うのだ
この町のみんなは生まれた時から山ガール、山ボーイ
出来たものはペットボトルに詰めて保管
酸味があり微炭酸、これが麦の香りなのだろうか
市販のものはきな粉にそっくりな香りがする
ペットボトル内でも発酵は進むので開ける時によく噴き出す
バザールで売られていた"ジャルマ"と"ボゾ"
"ボゾ"は基本的に冬に家庭で作られるそうだが夏のバザールにも売っていた
ボゾも酸味が...酸っぱい飲み物ばっかだな
ボスニアヘルツェゴビナ同様、キルギスのボザはトウモロコシから作られており、味が似ている
ちなみにトルコのものはゴマから作られねっとりとしている
キルギスのスーパーでも市販の物が売られていて
アルコール度数1.5~4.5%と濃度に種類があり、ハチミツ入りなんかもある
ジャイローに戻り、こちらは"カイマック"を作る様子
"カイマック"はバルカン半島からトルコにかけてよく食べていたが中央アジアでもよく見かける
それぞれの国で大きく違いがある、というか全くの別物と言ってもよいくらい違いがある
ジャイローのものは手動遠心分離機で作られる
これが止まらない美味美味
ハチミツと合わせたらもう無敵
左:スズメ
右:カイマック
"スズメ"はケフィールの水気を切ったもので、これまた酸っぱい
パンに付けて食べたり、そのままつまむ
"スズメ"を乾かすと"クルト"というおつまみになる
酸味のある乾燥ふわほろミルクボール
臭クルトも少なくない
ロバに乗って火をくべる為の枝を刈りに行く山ボーイ
移動式住居"ポズユ"のなかでチャイタイム
ジャイローから羊を一頭頂き、翌日に家でさばいてもらった
昨日まで元気だった羊は"ベシュバルマック"というキルギスで一番のおもてなしとされる料理となった
煮込んだブツ切り羊肉をそのまま大胆に食べ、
その後細かく切られた肉と羊の出汁で茹でられた麺を合わせた物を食べる
出汁と馬乳酒"クムス"を混ぜ合わせた飲み物"アクスィルケ"を飲みながら
その他、内臓と米を大腸に詰めたソーセージや肺に牛乳とバターを詰めて煮込んだ料理など
羊全身、残さず全て頂いた
"ベシュバルマック"は五本指という意味の料理普段
フォーク・スプーンで食べるこの国の人々も"ベシュバルマック"だけは手で食べる
食前食後はこの器に入ったお湯で手を洗う
最後に
お湯の出ないこの家ではこういう電熱でお湯を作って身体を洗う
不便に見えるかもしれないがこの一杯で髪も身体も洗う事ができる
二週間この国の人々の暮らしを見ていて、本当に無駄が無いと感じた
例えば、毎食のごはんは絶対に残さないし、
残すようなら鍋に戻して次に食べる骨に付いた肉はナイフでキレイにこそぎ取り、
食べ終わりにはいつも骨が光っているほど
キッチンに水道の無い家も多く洗い物はいつも二つの桶に張ったお湯で済ませ
火をおこす為の薪は近くの山から拝借した枝や松ぼっくり、羊の糞を固めたもの等
便利さは皆無だが、この国に生きる人達が皆良い笑顔をしていた
:
来月頭にインドへ飛びます
次回からインドのお菓子を紹介していこう